おう!まーたお前ぇさんかい。
今度は何をしたいんでぇ?
なに?数学が強ぇから、金融業界に行きてぇだぁ?
お前ぇさん、そろばんは出来るんだろうなぁ?
なに?小学校の頃習っただけだけど、計算機はあるだぁ?
おうおう!そんなうすっぺらい箱みてぇなもん、何の役にもたたねぇよ!
江戸の金融をなめてんじゃねぇぞ!
よし!今日はお前ぇさんに、江戸の「両替商」の紹介をしてやっからよ、耳かっぽじって、目ぇ見開いて、よーく聞きな!!
三貨制度 - 金・銀・銭の不思議な世界
江戸時代にゃあよぅ、金貨・銀貨・銭貨(銅貨)っつーな、三種類の銭がつかわれてんでぇ。これを「三貨制度」って呼ばれてんだ。
- 金貨→お前ぇさんも時代劇なんかでみてるだろうけど、要は小判とか、一分金とかな、主に江戸で使用されてんのがこれよ。越後屋、お主も悪よのぅってな!
- 銀貨→こりゃあ、あんまり時代劇じゃ見る機会が少ねぇかもしれねぇが、丁銀や豆板銀とかよ、主に大坂(現在の大阪)で使われてたんでぇ。
- 銭貨→これも時代劇ではよく見ると思うが、真ん中に穴があいてて銅で作られてるやつとかな。庶民はこれを使ってたんだな。
何でこんな制度が生まれたの?
これが江戸の主な三種類の銭だが、地域によって、その銭の価値が全く違ってたんだぜ。
「大坂の銀遣い、江戸の金遣い」なんて言葉があった位ぇなんだ。
例えば、大坂では銀貨を主に使ってただろ?
それを、金貨で支払おうとすると、ちょっと面倒な顔をされたりな。
でも、これ、ちゃんとした理由があったのよ。
①地域経済の違い
江戸と大坂だとよ、経済規模や取引がそもそも違ってたんだな。
大坂は商業の中心地だろ?
つまり、大口取引が多かったってわけで、分割しやすい銀貨が好まれてたんでぇ。
②鉱山の産出状況
金や銀は鉱山で発掘するだろ?
つまり、産出量の変動に対応しなきゃいけなかったんでぇ。
そのため、複数の通貨を使うことで柔軟に供給が出来るって仕組みでぇ。
③幕府の財政政策
幕府は通貨の種類を使い分けることで、経済を統制してたんだな。
あとは、中国との貿易なんかもあるからよ。
あっちのレート(価値)も踏まえないといけねぇって背景もあったみたいだぜ。
あとよ、も一つあるのが「お米」よ。
米と銭は同じ価値があったんでぇ。
例えば、大名の収入は米で計算されてるし、侍の給料も米で支給されることが多かっただな。
なに?頭が混乱してきただぁ?
いやいや、ここまでは基礎知識!まだまだこっからが本番!
いよいよ面白くなるところよ!!
レートの変動と驚くべき計算力
これら三種類の銭はなぁ、それぞれ価値(レート)があってな、なんと、しょっちゅう変動してたんでぇ!
例えば、1両(金貨)= 60匁(銀貨)= 4000文(銭貨)っつーのが基本的な交換比率だとするだろ?
でもよ、実際の市場はそうはいかねぇんだな。
需要と供給によってこの比率がしょっちゅう変わるのよ!
ある時期にゃ、1両が50匁の銀に相当したかと思えば、別の時期には65匁になったりよ!
現代人で言えば、三つの国の銭が江戸にあって、しょっちゅうレートが変動する様なもんよ!
「銀高金安」なんて現象もあってな、つまりは、銀の価値が、金の価値より高くなるとかな!例えばよ。
な、凄ぇだろ?
世界一の数学「そろばんと和算」
え?、江戸人たちゃ、どうやって計算してたのかって???
①そろばんの活用
まずは、何と言ってもそろばんよ!
どんな高度な計算も、指ではじけば、ぱぱぱーってな!
②和算の発達
そろばんだけじゃねぇぜ!
もひとつ、江戸の数学っちゃー、和算よ!
お前ぇらの世界じゃGHQが戦後封印した数学だけどよ、これが世界でも類を見ないほど、ずば抜けててよ、これも一役かってたんでぇ!
江戸人たちゃ、和算が大好きだったからよ、お寺の壁に、和算の問題を書いた紙張り付けて、それを別の誰かが解いて貼るみてぇなのも、よくやってたんでぇ。
③両替商の専門知識
なかでも、スペシャリストたちが両替商だな。
常に最新のレートを把握してなきゃ、両替商なんてやってんらんねぇんだ。
④暗算の能力
あとは、暗算だな。
日常的に複雑な計算しなきゃいけねぇだろ?
庶民もちまちまやってらんねぇってんで、江戸人たちの暗算能力っちゃー、ずばぬけてたんでぇ。
よし!一つ、例をみせてやるか!
例えば、大坂で100両の金を銀に両替し、それを江戸で使うとなると...…。
- 大坂での両替:100両 × 60匁 = 6000匁の銀
- 輸送コストと手数料:約2%として、5880匁の銀が江戸に到着
- 江戸での両替:5880匁 ÷ 58匁 = 約101両と1分(0.25両)
こんな計算を、そろばんを使ってパパッとやってのけるのが、THE江戸人よ!
庶民の金融 - 頼母子講と無尽講
ま、これが大名とか、金持ちの金融だな。
一方でよ、庶民の間では「頼母子講(たのもしこう)」や「無尽講(むじんこう)」っつー金融システムが発達してたんでぇ。
現代人で言ったら、信用組合とかの原型みてーなもんだな。
ようは、参加者が定期的に一定額を拠出してよ、くじ引きや入札で順番決めて、まとまった銭を受け取るっつーな。
これで、庶民も、事業起こす時の資金とか、冠婚葬祭の費用、ひいては、伊勢神宮まで行く旅費なんかも捻出出来たって訳よ!
江戸時代の物価と給料
次に、江戸時代の給料と物価の相場を見てみっか。
ま、年代によってかなりばらつきはあるけどよ、平均したらこの位ぇだ。
- 庶民の食事(蕎麦1杯):16文
- 下級武士の年収:40両程度
- 高級官僚の年収:1000両以上
- 高級花魁との一夜:1両
なに?下級武士の年収、低すぎるだろ!って?
おうよ!だから、下級武士は内職をみんなして、生計立ててたんだぜ!
次に江戸の物価よ。かなり年代によってもばらつきがあるから、平均したので行くぜ。
- 米: 1石(約150kg)= 1両(現代の約10万円相当)
- 豆腐: 1丁 = 24文(現代の約600円相当)
- 蕎麦・うどん: 1杯 = 16文(現代の約400円相当)
- 卵: 1個 = 7文(現代の約175円相当)
- 草履: 1足 = 12文(現代の約300円相当)
- 髪結い: 1回 = 16文(現代の約400円相当)
- 銭湯: 1回 = 5〜12文(現代の約125〜300円相当)
なに?豆腐がやたらと高ぇだと?でもこれ、1丁の値段よ。
だから、豆腐屋は、1/4丁とか、1/8丁なんかに切って売りに来てたんでぇ。
これ見ると、あの小判の一両ってやつは、やっぱ凄ぇよな!
江戸人たちから、学ぼう!!
江戸時代のお金の仕組みは難しかったかい?
でも、現代人たちも、相当複雑じゃねぇのかい?
なんせ、物価は上がる、給料は変わらねぇ、それに加えて、なんちゃらマネーなんてのもあるし、仮想通貨なんてもんも出てきたって言うじゃねぇか。
じゃあ、江戸人から学ぶ知恵ってのもあるんじゃねぇか?
①変化に強くなろう
何時の時代も、変化ってのはあるもんだ。それに乗り遅れずに、頭を更新していくって事が大事だと思うぜ!
②計算をしよう
そんな薄っぺらい箱(計算機)なんかに頼ってっから、現代人ってのは数学が弱くなっちまったんじゃねぇか?
計算に強くなりたきゃ、そろばんやりな!そろばん!!
③知識を増やそう
なんだか訳わかんねぇもんが、次々登場してるみてぇだけどよ、お前ぇさんらの持ってるそのすまほとか言う薄っぺらいやつに聞いてみりゃ、答えなんて幾らでも出てくるだろ?
自分で勉強する事も大ぇ事って事だな!
④危険に備えよう
お金の価値が急に変わる、決まり事が急に変わるなんて、日本でも戦時中に実際あってるだろ?
終戦直後の金融封鎖なんて、急に「今日から、銀行からお金が引き出せなくなりまーす!」なんてな。
あの頃の政府は、まだインフレ制御の目的もあったんだろうけどよ、現代人達の政府ってやろーどもは、何考えてるか分かんねぇんだからよ。
お前ぇらの銭って言やぁ、只の画面上の数字になってるしよ、しっかりと目見開いて、観察してとかねぇと取返しつかなくなるぜ!
⑤信頼されることが大切
人様に信頼されるっつーのは、両替商にとっちゃあ、必須の能力だったのよ。
だから、両替商は常に潤ってたんだぜ!
つまり、運も、銭も人が運んでくるって事よ!
な、もう言わなくても分かるだろ?
な、江戸の両替商ってのは、凄ぇだろ?
よし!ってことで、まずは明日からそろばんの練習からだ!
わっちがみっちりしごいてやっから、覚悟しとけよ!
え?自分には無理???
なんでぇ、せっかくしごいてやろうと思ってたのによ!
しゃーねーな!また来なよ!じゃあな!